こんにちは!
スタッフの坪田です。
すっかり寒くなってきましたね。
あの猛暑は一体どこへいったのでしょうか(笑)
さて、今回のテーマは“なぜ、相続登記が義務化されたのか?“です。
相続登記の義務化からすでに1年以上経過しましたが、
その背景までご存じの方は意外と少ないのではないでしょうか。
実は、この義務化の背景には 「所有者不明土地問題」 が大きく関わっています。
それでは、この「所有者不明土地問題」とは一体どんな問題なのか、
一緒に見ていきましょう!
まず、「所有者不明土地」って何?ということで、
国土交通省のガイドブックを確認してみると、次のように定義されていました。
所有者不明土地とは、
相続登記がされないこと等により、以下のいずれかの状態となっている土地を「所有者不明土地」といいます。
① 不動産登記簿等を参照しても、所有者が直ちに判明しない土地
② 所有者が判明しても、所有者に連絡がつかない土地
少し分かりづらいですが、
要は、持ち主が誰か分からない土地や迷子になっている土地といったイメージです。
では、このような土地が増えると、どんな問題が起きるのでしょうか。
具体的には、次のような問題が生じてしまいます。
・公共事業の利活用が進まない
・災害時の復興の妨げになる
・民間取引の阻害要因となる
・不法投棄や害虫の発生など、周辺地域へ悪影響が生じる
こうして見てみると、所有者不明土地問題は遠い話ではなく、
私たちの生活に身近な問題であることが分かりますね。
特に災害時の復興の妨げになるといった点は、地震の多い日本にとって、他人事ではないように感じます。
実際、東日本大震災の際には、土地の所有者が特定できなかったことで用地取得が難航し、
結果として、復興工事が遅れたケースもあったとされています。
では、一体なぜ、このような土地が生まれてしまうのでしょうか。
その大きな要因とされているのが「相続登記の未了」です。
実際、所有者不明土地のおよそ6割は、相続登記が行われていないことが原因だとされています。
以前は、相続登記が義務化されていなかったため、
「手続きが面倒」「費用がかかる」「相続人同士で話がまとまらない」などの理由から、
登記が放置されてしまうケースが多々ありました。
その結果、登記簿上では何十年も前の名義人のままとなってしまい、
所有者の特定や連絡が困難になるケースが増えていきました。
今後、少子高齢化に伴い相続件数が増加し、
それに比例して所有者不明土地もさらに増えると予想されています。
そのため、こうした問題を未然に防ぐ観点から、相続登記の義務化が施行されることになりました。
【補足】
・その他の所有者不明土地の発生を防ぐ仕組みとして、「相続土地国庫帰属制度」も設けられています。
こちらについては、また別の機会にお伝えできればと思います。
ここまで見てきましたが、
実際、どれほど深刻な状況になっているのでしょうか。
現在、所有者不明土地の面積は、九州全土の面積を上回っているとされ、
2040年頃には、北海道の面積にも匹敵すると予想されています。
行政が社会問題として本格的に取り組み始めたのも、十分に頷けますね。
また、今後の取り組みとして、
2026年2月に「所有不動産記録証明制度」が施行される予定です。
この制度を利用すれば、特定の名義人が所有する日本国内の不動産をまとめて調べることができ、
その結果をリスト化した証明書として受け取ることができます。
つまり、相続登記の際、相続人は被相続人名義の不動産を漏れなく把握できるため、
不動産の登記漏れを防ぐことができます。
結果として、所有者不明土地の発生の予防に繋がるというわけです。
なお、この制度にはいくつか注意点がありますので、下記の【補足】をご覧ください。
【補足】
・制度の名称については、正式名称ではございません。
・制度を利用できるのは、不動産の名義人本人・相続人・代理人(司法書士など)などの限られた方のみになります。
・被相続人名義、現在生存している名義人、法人名義の不動産も調査可能です。
いかがでしたでしょうか。
今回は、なぜ相続登記が義務化されたのか、その背景についてお話しさせていただきました。
所有者不明土地の問題は、一見“自分には関係ない”と思われがちですが、
実は私たち一人ひとりに関係する身近な問題です。
だからこそ、相続に対する意識を少しでも早く持つことが大切です。
今後も法改正や新しい制度の施行が続いていく見込みですので、
その都度、皆さまに分かりやすくお伝えできればと思います。
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